【海外情報】国際金融公社が2021年度報告書をリリース(中編)

昨年7月に世界銀行グループにより作成され、国際金融公社(IFC)が発表した報告書 「ガラス産業の持続可能性強化」 は、今日のガラス市場にとって重要な指標として注目されています。TGM wayでは、欧州の業界動向をご紹介する観点から、複数回に分けて報告書の内容や欧州の持続可能社会実現に向けた取り組みになどに関して紹介いたします。

現在世界中に広まっている持続可能性社会の実現のための取り組みですが、欧州では持続可能性強化に関する関心が非常に高く、欧州連合(EU)では温室効果ガスを90年代の排出量から2030年までに30%、2040年までに40%削減し、2050年にはカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を実現する目標を打ち出しています。

本ブログの4月22日更新分でご紹介したイギリスの窓製品に対する新しい断熱基準も、そうした目標の実現に向けた取り組みの一つとされています。

もちろん、温室効果ガスを排出する産業や媒体は建築やガラス業界以外に数多く存在しますが、国際連合環境計画の調査によると、建築用板ガラス業界が含まれる、建築・土木業界に関わる産業は、世界のエネルギー消費量の36%、製造業における生産活動による二酸化炭素排出量の実に39%を占めていると言われています(2019年調査)。

また、日常生活に起因する温室効果ガスの排出量に関しては、住宅など建築物の高断熱化や自家発電などを利用した再生可能エネルギー活用による削減効果も期待できることから、多様な観点で建築産業には持続可能性強化への大きな期待が寄せられています。

※なお、再生エネルギーの普及は現在進行形で進んでおり、世界的に見て今後大きく成長していく分野とされています。現に世界の太陽光発電市場規模は2018年の525億ドル(約6,8兆円)から2026年には2230億ドル(約29兆円)へと約4.2倍に成長する可能性があるという調査結果(Choudhary and Prasad 2019)もあります。

また、持続可能社会の実現に対して、板ガラス業界の取り組みも世界中で進んでいますが、特に欧州では数多くのフロートガラス製造における温室効果ガスの排出量削減に関する研究やプロジェクトが行われています。

グラフ:欧州におけるフロートガラス1トン製造時のCO2排出量推移
(出典:欧州板ガラス協会ホームページ)

上記のグラフは欧州において、フロートガラスを1トン製造する際に排出されるCO2排出量の調査結果を纏めたものです。1990年の数値を100%として、年々削減が進んでいることが見て取れます。

ガラス製造時の地球温暖化ガスの排出量は、生産されるガラス種類、使用される炉の燃料、生産工程のエネルギー効率、リサイクル素材(カレット)の使用有無などにより左右されます。欧州板ガラス協会では、上記グラフの様にCO2排出量の削減が進んでいる要因の一つを、「板ガラス産業のフロートガラス製造設備のエネルギー効率向上に対するたゆまぬ技術努力の結果」としていますが、欧州連合の掲げた2050年までのカーボンニュートラルの実現の為には、さらに抜本的な転換が必要とのコメントを出しています。

バイオガスや水素、また再生可能エネルギー(太陽光や風力、地熱により発電された電力)を用いたガラス製造に向けたプロジェクトが数多く推進されていることは、各種媒体で大々的に報道されている通りですが、欧州板ガラス協会では板ガラスのリサイクルについても指針を打ち出しています。


次回の掲載では、欧州板ガラス協会のリサイクルについての指針や、ガラスのリサイクルに関する欧州の取り組みについてご紹介する予定です。ご興味があれば、是非ご確認ください。

※本記事は、glassonline.comを運営するA151 SRL社に特別な許諾を得て掲載しています

※情報出展元:03_04_Glass Technology International_2022_March-April


本記事に関する問い合わせ先
株式会社TGM 営業部 設備グループ
TEL: 03-6261-1260 MAIL: general@tgm-japan.com

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