イタリアの国立統計研究所が同国内の生産者物価指数を公開しています。新型コロナウイルス感染症の流行が本格化する前の2020年1月度の生産者物価指数は102.8でしたが、その後上昇を続けており、同研究所が公開している直近のデータである2022年1月の同指数は136.8と、約33%の上昇となっています。

上記が2020年1月からの推移を表したグラフですが、新型コロナウイルス感染症の流行後、右肩上がりで上昇を続けている様子が確認できます。なお、上記のデータはガラス産業に限定したものではなく、全産業を対象とした統計データとなります。
生産者物価指数は、生産者(製造メーカー)の出荷価格に基づく価格変動を表す経済指標であり、上述の数値は2015年の価格を100として算出されています。一般的に消費者物価指数よりも景気動向の反映が早い指標として参照されています。
物価指数の上昇はイタリアに限らず、TGM wayでもご紹介している米国、また日本など世界の多くの地域で同様の傾向ですが、イタリアでは通常の消費材や部材、原材料などに加えて、電気料金の上昇が社会的問題として報道されています。
現在イタリア国内の電気料金は2020年水準の3~4倍へと高騰しており、市民の日常生活や生産工場における製造コストを大きく圧迫しています。
イタリアでは原子力発電を利用しておらず、ガスが燃料の火力発電が中心です。エネルギー資源に乏しく、天然ガスにおいては需要の9割以上をロシア等の諸外国からの輸入に依存しています。世界経済の回復によるエネルギー需要の高まりや風力発電の不振等により、2020年以降イタリアに限らず、欧州全域で天然ガス価格の高騰が継続しています。
また、直近ではウクライナ情勢に関わるロシアへの経済制裁により、主要な天然ガス産出国である同国からの供給が見通し不安定となっており、ガス価格の高騰にさらに拍車がかかっています。こうした状況から、前述の電気料金の高騰に繋がっています。
なお、欧州における天然ガス価格の指標は、2020年1月時点で3.63$/100万BTUであったところ、2022年1月には28.26$/100万BTUと、約7.78倍に高騰しています。
市民の日常生活や産業界に大きな影響を与えている現在の状況はイタリア国民にとって非常に厳しい環境となっており、イタリアとの関わりが深い当社としても、今後どのような傾向となっていくのか、引き続き注視してまいります。
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