
6月23日、Renovate Europe(リノベート・ヨーロッパ)は欧州議会にて、教育関係者、学生、政策立案者、技術専門家らを集め、2050年までに教育施設がいかにしてゼロエミッションかつ気候変動に強靭な建築ストックへの移行を主導できるかについて議論を行いました。
Renovate Europe(リノベート・ヨーロッパ):EU域内の既存建物のエネルギー効率を大幅に向上させ、2050年までにエネルギー需要を80%削減することを目標に掲げる政治的キャンペーン
Renovate Europeが主催し、欧州議会議員のMarcos Ros Sempere氏(S&D、スペイン)が司会を務めた「教育施設キャンペーン」に関する円卓会議では、欧州の改修政策において学校を中心に据えることの緊急性が強調されました。このイベントは、今年2度目となる熱波の最中に開催され、気温の上昇に対処するための設備が不十分な学校が多く、休校を余儀なくされる状況下で行われたため、その開催時期はこれ以上ないほどタイムリーなものでした。
断熱性能や日射遮蔽の不足、自然換気の欠如により、教室は夏には過熱し、冬には断熱性が不十分な状態となります。こうした環境は、生徒や教職員の快適性、健康、幸福(ウエルビーイング)、そして学習環境を損なう要因になっています。
保護者、学生、リノベーションおよびエネルギー効率の専門家、さらに欧州委員会の職員や欧州議会議員らが一堂に会し、大規模リノベーションがエネルギー性能、気候変動への耐性、そして教育成果を同時に向上させる方法について議論が交わされました。また、このイベントは、ClimACTがGlass for Europe(以下、GfE)の協力を得て作成した国家建築改修計画(National Building Renovation Plans)に関する分析を発表する機会ともなりました。この調査では、各加盟国が長期的な改修戦略を国家計画にどのように組み込んでいるかが評価されるとともに、戦略的な公共資産である教育施設をより優先的に扱うための機会が特定されました。
ClimACT:欧州省エネ建築連盟(European Alliance of Companies for Energy Efficiency in Buildings)は、欧州の建築物におけるエネルギー効率の向上を推進する企業や団体の連盟
熱波の頻度と激しさが増す中、出席者たちは、欧州の学校改修への投資はもはや単なるエネルギー政策にとどまらず、子どもたちの健康、教育の質、そして欧州全土の地域社会のレジリエンスへの投資であるという点で意見を一致させました。
レジリエンス:先行きが不透明な環境(VUCA時代)において、組織や個人が変化や失敗を乗り越え、成長し続けるための能力
GfEのサステナブル・コンストラクション・マネージャーであるAdrien Carton氏は、屋外とのつながりを保ちつつ、教育施設の過剰な高温化を防ぐためのガラス業界が提供するソリューションを強調する好機を捉えました。
2035年までにすべての教育施設を改修する
教育施設キャンペーン
欧州全域で多くの学校や大学が老朽化や設備の不備を抱えており、夏には暑すぎ、冬には寒すぎ、生徒や教職員にとって不健康で危険な学習環境を提供しているなど、劣悪な状態にあります。教育施設はEUの非住宅用建築ストックの17%を占めており、その多くは1950年代から1980年代にかけて建設されたものです。こうした設備では、日々9,330万人の生徒が学んでいます。私たちはEU加盟国に対し、これらの施設を2050年までの「ゼロエミッション建築物ストック」実現に向けた先導役と位置づけ、2035年までに大規模な改修(ディープ・リノベーション)を行うよう取り組みを求めています。
「教育施設キャンペーン」のメリット:
EU域内の教育施設の大規模改修は極めて重要です。なぜなら、優れた断熱性、遮音性、採光といった快適性に加え、健康的な室内環境が確保されることで、生徒の集中力やウェルビーイング(心身の健康・幸福)、そして成長が促進されるからです。主なデータは以下の通りです:
▶欧州の9,330万人の生徒のために、より健康的で効率的な学校環境
室内のCO₂濃度を100ppm低下するごとに、病気を理由にする欠席率が0.1~1%減少することが示されています。
▶より良い空間、より良い学習、より良い指導
室内環境の改善により、生徒が同等の学習成果を上げるまでの時間を、年間で最大2週間短縮するのに役立ちます(成績が3~8%向上)。また、遮音性が高まると、生徒の正答率が35%以上向上する可能性があります。
▶EUのビジネスと雇用の拡大
建物のリノベーション投資は、100万ユーロの投資につき最大30人の雇用を創出する可能性があります。
▶光熱費の削減
リノベーションにより、200万棟の建物において、エネルギー使用量を最大80%削減することができます。
私たちの要請:
加盟国はすでに、「エネルギー効率指令(EED)」および「建築物のエネルギー性能に関する指令(EPBD)」の「省エネルギー最小基準」に基づき、公共建築物および非住宅建築物のリノベーションが義務付けられています。学校や大学などの教育施設は、エネルギーリノベーションにおいて率先して模範を示す重要な機会を提供しています。。「Renovate Europe Campaign(欧州改修キャンペーン)」は、EU加盟国に対し、2035年までにすべての教育施設の抜本的なエネルギーリノベーションに取り組むことを求めています:
▶「国家建築改修計画」の中に、公立校、私立校を問わず、教育施設に完全に焦点を当てたチャプターを盛り込むこと
▶遅くても2035年までに、既存のすべての教育施設について、大規模改修(ディープ・リノベーション)を通じて、各国の最高レベルのエネルギー効率評価(EPBDで定義されるゼロエミッション基準)を達成することに取り組む
▶教育施設特有の性質を考慮した革新的な技術的アプローチを推進し、児童や生徒の学習成果に支障をきたさないよう、休暇期間中に改修工事を行えるようにすること
▶2035年までの期間内に、教育施設のゼロエミッション化というビジョンを実現可能なものとする資金調達プログラムを策定すること
▶他の加盟国と経験を共有し、技術的知見、革新的なアプローチ、そして効果的な取り組みを強化すること
政治的支援:
生徒や教育関係者に、健康的かつ快適で、エネルギー効率に優れた学習環境を提供することの緊急性を認識し、欧州議会の各政治会派の議員らが「教育施設キャンペーン(Educational Buildings Campaign)」への支持を表明しています。
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※情報出展元: https://www.glassonline.com/gfe-joins-the-workshop-on-the-educational-buildings-campaign/ に掲載
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