【ガラス検査】歪みとアニストロフィー:より高品質な強化ガラスのために

強化ガラスの生産をサポートするために、品質や工程管理のシステムが広く採用されるようになりました。歪みや平坦度のスキャナーは2000年代よりも前に導入され、今では高品質なガラス加工メーカーに広く普及しています。多くの注目を集める建築プロジェクトでは、製造される全ての強化ガラスに対して歪み測定を行うことが求められています。近年では、外観美を損なうイリデッセンス* を引き起こすアニストロフィーへの関心が高まっており、強化ガラスの製造時にアニストロフィーを測定するための多くの新しいシステムが導入されています。

* 光の干渉によって不要な虹色の輝きが見えてしまう光学現象

なぜ歪みとアニストロフィーの両方を測定する必要があるのか、という質問をよく受けます。ここでは、これらの二つの現象について説明し、なぜ両方を測定・検査する必要があるのかを説明します。下記の説明を読み終えた頃には、「歪みとアニストロフィーの両方を測定する必要があるのでしょうか?」という質問に対する答えが、間違いなく「イエス」であることがわかるでしょう。

歪みについて

ここでいう「歪み」とは、熱処理によって生じたガラスの局所的な反り(平面からのズレ)を指します。強化ガラスでは、製品の加熱と冷却により、内面に応力を発生させます。この工程では、必ず何らかの物理的な歪みが生じ、それによって反射像が歪んで見えてしまいます。自動で加工を制御しなければ、この歪みは容易に酷くなってしまいます。

酷い歪みを持つ製品かどうかは、生産現場で人間が視覚的に見分けるのは困難です。このような製品は、最終組立工程まで気付かないことが多く、最悪の場合、現場で取り付けられてからようやく気付くことになり、経済的な損失が大きくなってしまいます。

ここでは、ガラスの歪みの中でも代表的な「ローラーウェーブ」と「ハンマーポケット」の例をご紹介します。

ローラーウェーブとエッジキンクの例
オンライン測定結果
ハンマーポケットの例
オンライン測定結果

製品の高い外観美を実現することに加えて、歪みを測定して確認することは、ガラスの物理的な平坦性に敏感な次工程の加工プロセスにとっても非常に重要です。高品質の合わせガラスの生産は、特に板ガラスの平坦性に影響されます。歪み検知システムを導入した加工メーカーは、歩留まり率が大幅に向上し、より薄い中間膜を使用する等の、他の工程の改善に繋がります。

自動化された歪み検査機は、最高品質の強化ガラスを作るための鍵となります。技術的には、生産された製品のごく一部の箇所で昔ながらのハンドゲージ測定を行うことは可能ですが、何枚も手で測定する必要があり、大量生産には適していません。適切な工程管理システムには、100%のオンライン測定と即時のフィードバックが必要です。弊社の自動歪み検査システムが2000年代よりも前に導入されて以来、お陰様で多くの高品質を求めるガラスメーカー様にご導入いただいております。

アニストロフィーについて

アニストロフィーとは、偏光した光源に当てたり、偏光サングラスで見たりしたときに、暗部と明部のゴースト状のパターンとして現れる、イリデッセンスの一種のことです。アニストロフィーを測定・検知したいというお客様の要望も年々高まっております。このビルはアニストロフィーの事例としてよく取り上げられます。

強化の工程では、意図的に高い応力を表面と内面に発生させます。理想は完全にバランスのとれた状態(下の左図)です。応力帯のバランスが取れていれば、偏光に正味の影響はなく、したがってイリデッセンスの可能性もありません。しかし、実際には右図のように応力のバランスが取れていない部分が必ずあります。これらのバランスが取れていない部分は、光の偏光状態に応じて異なる見え方をしてしまい、特定の照明条件下ではゴースト状のイリデッセンスが見られます。この影響は、リターダンスと呼ばれる光学特性によって定量化され、通常はナノメートル(nm)単位で測定されます。

バランスのとれた圧力帯
バランスの取れていない部分によって引き起こされたアニストロフィー

歪みとアニストロフィーの違いについて

以上のように、歪みとアニストロフィーは異なる性質を持っています。このことは、それぞれ性質が根本的に異なる原因に由来することからも明らかです。アニストロフィーは、ガラス内部の応力のアンバランスに起因し、一方、歪みはガラスの物理的な変形や局所的な反りが原因となります。物理的な歪みによって応力のアンバランスが緩和され、アニストロフィーが緩和されることもありますが、極めて稀な現象です。

以下は、歪みとアニストロフィーが明確に異なるという事を示す典型的な例です。最初の例は、とあるガラスの分析図で、左には酷いポケット状の歪みが表示され、右ではアニストロフィーのレベルが非常に低く出ています。

次は、正反対の特性を持つ例です。左では歪みが非常に少なく、右ではアニストロフィーが看過できないレベルまで酷くなっています。

歪みとアニストロフィーの両方を測定する必要性について

2000年代以降に広く採用されていることからもわかるように、歪み測定は、強化のプロセスをコントロールするための強力なツールであることが証明されてきています。アニストロフィーを検知できる仕様は近年搭載されるようになったものなので、性能は日々進化しています。業界が求める最高品質の強化ガラスを製造するためには、歪みとアニストロフィーの両方を測定・検知することが必要であると、お分かりいただけたら何よりです。


著者:Eric HEGSTROM氏はLiteSentry社(アメリカ)の技術担当副社長であり、工業オートメーションの分野で25年の経験を持ち、その内の後半19年はガラス産業の品質検査システムに注力されています。


株式会社TGMでは、年々高まるガラスの加工品質に対する要求を受け、強化ガラスの歪みおよび応力バランス測定のためのソリューションをご提案しています。また、ガラス表面の欠点検出のソリューションや、高い精度で測定・検出するために必要となる高性能な洗浄乾燥機もご提案しています。ぜひお気軽にご相談ください。


今回のメーカー
以下画像をクリックしていただくとメーカーのウェブサイトにアクセスできます

アメリカ・LiteSentry社

今回の製品
以下画像をクリックしていただくと弊社ウェブサイトやメーカーウェブサイトの製品紹介ページにアクセスできます

OSPREY: 強化ガラス歪みおよび応力バランス測定装置

本記事に関する問い合わせ先
株式会社TGM 営業部 設備グループ
TEL: 03-6261-1260 MAIL: general@tgm-japan.com

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