2023年2月22日にイタリアのスペーサーメーカーであるALUPRO社を訪問し、同社社長Marco Del Bianco氏に欧州のスペーサー市場の概況と今後について話をお伺いしました。
聞き手:TGM生田(以下T)

T:2022年はALUPRO社にとってどのような1年だったか?
Bianco氏:ロシアによるウクライナ侵攻を始めとして、例外的な1年であったと感じる。2021年に比べるとエネルギーコストは5倍以上に高騰し製造業界には大きなストレスを与えた。その中でもスペーサーの売上は順調に推移しており、樹脂スペーサーの需要は更に高まっている。
T:2023年は?
Bianco氏:物価高による不景気も予測されているが、現時点ではまだ注残が大量にあり、生産は多忙である。年間を通しても需要はさほど低下しないと予測している。
T:スペーサーのトレンドは?
Bianco氏:昨年から繰り返し述べていることではあるが、欧州のアルミスペーサーの需要は低下の一途をたどると考えている。アルミニウム価格は一時に比べれば落ちついたものの、高騰時に多くの顧客が樹脂スペーサーへの切り替えに踏み切った。トレンドはアルミから樹脂スペーサーへと移り変わっているのは間違いなく、数年後には欧州からアルミスペーサーの需要がなくなることも視野に入れている。
また、かつて主流だった15.5mm幅スペーサーよりも大きいサイズの売上が伸びている。欧州圏では建築の断熱基準がますます高くなってきており、求められるスペックが高くなっていることが影響している。

T:スペーサーをめぐるコスト環境は?
Bianco氏:冒頭のとおりエネルギーコスト高が製造コスト高に直結している。原材料価格はピークアウトしており、若干下落傾向とはなっているものの、コロナ禍以前の水準に比べれば高水準である。ロシア・ウクライナ事情で今後も変動があり得るため、原価コストが好転したとは現時点では言い難い。
T:エネルギーコスト高に対するALUPRO社の対策は?
Bianco氏:当社では昨年、工場の屋根に太陽光発電設備を導入する投資を行った。この投資によって工場で使用する電力コストを抑えられるようになっている。
T:その他注力している事項は?
昨今は当社では設備投資に注力している。自社倉庫の拡張もその一環である。コロナ禍で発生した原料不足や物流遅延に備えており、安定供給が可能となった。

■ALUPRO社製スペーサー

樹脂・ステンレスハイブリッドスペーサー Chromatech Ultra F
樹脂・ステンレスハイブリッドスペーサー(ワイヤ入り) Thermix Pro
樹脂スペーサー Multitech G
など
<今回のメーカー>
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