【海外情報】FGIAバーチャル・サマー・カンファレンス パネルディスカッション:カナダにおける窓業界を取り巻く2030年への展望

FGIAバーチャル・サマー・カンファレンス パネルディスカッション:カナダにおける2030年への展望と窓業界への提言

2022年6月に開催された窓・開口部業界連盟(FGIA)のバーチャル・サマー・カンファレンスの参加者は、2030年までにエネルギー効率目標を達成するためのカナダの取り組みについて、Building Knowledge Canada社の副社長兼建築科学ディレクターのAndrew Oding氏とWEST Lab Canada社の社長Jeff Baker氏から話を聞きました。2人は、FGIAカナダ・技術ガラス事業ディレクターのAmy Roberts氏が司会を務める「Fenestration – The Path to 2030 in Canada」(開口部の役割-カナダにおける2030年という近未来を見据えて)というパネルディスカッションに登壇しました。

カナダの2020年国家建築規範(NBC)の段階的エネルギー削減基準が2022年に発行されることで、より高いエネルギー効率基準に関連する「ネットゼロレディ(Net Zero Ready)」タイプの住宅や建物の将来性に注目が集まっています。Oding 氏とBaker氏は、新しい基準とネットゼロの未来がガラスと窓製品に何を意味するのかを明らかにしようとディスカッションを行いました。

カナダにおける新基準

ふたりのパネリストは、2004年から2022年までの窓のエネルギー性能の変遷を簡単に説明しました。その後、2人は、現在の窓の設計を調査する、最近のNRCan研究プロジェクトの結果を共有し、2030年の目標値を現状はどこまで達成しているのか、2030年までの過程で様々な性能レベルを達成するにはどんな設計要素が必要であるかなどを説明しました。「NBCは2022年に発表され、18-22ヶ月以内に(新しい2020年の基準)を浸透させる計画があり、2024年のどこかのタイミングがターゲットとなってくるでしょう。」とOding氏は述べました。 「法規制者や設計者がこれに慣れるには、ある程度の時間がかかるでしょう。」とも付け加えています。

Oding氏は、「課題という一方向から今回の新たな基準を見るのではなく、新しい機会として捉えたい。」と発言しました。彼はカーボンフットプリントではなく、あくまでもエネルギー消費量削減の観点で話していることを強調しながら、「脱炭素の議論は、今まさに始まったばかりです」。と付け加えています。Oding氏は、27の州で入居前のブロワードア検査*を義務付けるなど、米国がいくつかの分野で先駆けていることを評価しました。「米国の住宅用エネルギー削減基準の導入は急速に進んでいます。」「カナダだけのことではありません。どちらかといえば、我々は遅れをとっているのです。」と締めくくっています。


*ブロワードアテストは、住宅のエネルギー効率を図る一つの指標として、住宅の気密性を検査する手法です。ブロワードアと呼ばれる送風ファンを用いて住宅内から空気を外に送り出す際の内外の圧力差を測定し、住宅の気密性を確認します

窓とエネルギー利用

Oding氏は、昨今の基準を満たすには窓はかなり優秀なU値を持つ必要があるとしながらも、規制が進むにつれて新たなリスクが生まれることを指摘しました。「先進的な開口部製品の気密性が高まりすぎると、逆に快適性、湿度、室内空気環境を犠牲にしてしまう可能性がある。」と述べています。

Baker氏は、2階建ての集合住宅の内装材として、他のすべての材料の中で窓が最も大きな影響を与えると指摘します。

ガラスを多用することの影響

今日の住宅には多くのガラスが使われており、多くの冷房負荷はガラスによってもたらされているとOding氏は述べました。「気候変動などの影響により、日射熱取得の抑制が必要になってきています。」と述べています。「日射熱取得率を少し向上させるだけで、住宅の空調システムを小さくすることができ、住宅所有者のエネルギー節約につながります。」ともコメントしています。

Oding氏は、相対湿度を冬は約35〜45%、夏は約45〜50%に保つことができる窓製品を推奨すると述べ、さもなければ数時間で脱水症状に陥ってしまうと話していました。

未来への窓

「5〜10年後には、住宅の指標はもはやエネルギー効率ではなく、二酸化炭素排出量の削減となる日が来るでしょう。」とOding氏は言います。

Baker氏も同意見で、日射熱取得に関しては、それぞれの製品をどのように選択するかがますます重要になるとし、さらに複数のLow-Eコーティングや3枚のガラスすべてにLow-Eコーティングを含むことも有益であると述べています。

「トリプル複層に見られる傾向として、アルゴン充填トリプルガラス用複層ガラスのセンターガラスにコーティングする手法があります。まだトリプル複層を製造していない企業は、そうした技術の導入を検討することが望ましいです。」と述べています。

窓枠に関しては、今後やるべきことがあるとBaker氏は言います。「より良いフレームデザインを考えようとする動きもあるようです。しかし、今後数年の間にフレームを再設計するのであれば、先に述べた様な環境変化に対応できるよう、将来にわたって拡張性のあるものにすることが望ましいでしょう」。と締めくくりました。


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