【海外建築】ネット・ゼロ・エネルギー認証を取得した初のファーストフード店

マクドナルド社が、ファーストフード店としてはアメリカで初となるネット・ゼロ・エネルギー認証を店舗で取得しました。Vitro Architectural Glass社のSolarban®60 Low-Eガラスの活用など、多様な創意工夫がなされた本物件をご紹介します。

アメリカ合衆国に同国では初となるネット・ゼロ・エネルギー認証を取得したファーストフード店舗が誕生しました。マクドナルドのWalt Disney World Resort店は、Vitro Architectural Glass社のSolarban®60 Low-Eガラス、太陽光パネル、緑化壁面や自動開閉機構付きジャロジー窓などを組合せ、同店舗の電気消費量以上の電力を発電する能力を有し、ネット・ゼロ・エネルギー認証を満たしています。

同店舗はオーランド市に所在するDisney Hollywood StudiosやAnimal Kingdomにほど近い、レイク・ブエナ・ビスタ市に位置しています。シカゴ市に拠点を持ち、本プロジェクトを担当した設計事務所であるRoss Barney Architects社が、窓など各種部材の選定を行い、8,400平方フィート(約2,560平米)の敷地を持つ同店舗向けにガラスなどが供給されました。

本物件の設計に関して、Ross Barney Architects社の設計士の1人である、Jason Vogel氏は次のように語っています。「フロリダという高湿度かつ熱帯気候を持つ土地でネット・ゼロ・エネルギー物件を実現するには、店舗全体の冷房効率を考慮する必要があったため、遮熱タイプLow-EガラスであるSolarban® 60を採用することに決まりました。Solarban® 60は優れた機能性とデザイン性の双方を実現してくれました。」

日射熱取得率が0.39である本Low-Eガラスは、店舗内への日射熱の侵入を抑えながらも、70%の日射を透過することで、店舗内を明るく保ちます。窓ガラスにはセンサーが設置されており、外部の明るさや店舗内の来客状況に応じて室内の照明輝度をゾーン毎に調整し、ムダな電気消費を削減しています。

Ross Barney社の設計により、店舗北側の高窓にはSolarban® 60が使用され、日射熱の取得を抑えるとともに、窓の向こうに晴天や太陽光を煌びやかに反射するソーラーパネルを目視することができます。

「今回高窓にはエッチングガラスも採用しており、直射日光を避けながらも十分な採光を実現し、さらに天井に設置された機械部品をゲストの目から隠す役割も担っています。」 とVogel氏は設計を振り返り教えてくれました。

同店舗にはネット・ゼロ・エネルギーを実現するため、様々な工夫がされています。一例は下記の通りです:

・Solarban® 60を使用した複層ガラス

・VRF(Variable Refrigerant Flow:冷媒流量可変)型空調機の採用

・省エネ性能に秀でたキッチン設備

・空気熱利用ヒートポンプによる温水システム

・直射日光を遮り室内温度上昇を予防するシェーディング

・室内外気温や湿度差に応じて自動で開閉し換気を行うジャロジー窓

※本店舗に使用されているジャロジー窓は、気温と湿度センサーを持つシステムにより制御され、室内外の気温差により、必要に応じて自動で開閉し、自然の風も利用することで、自然換気を行い、店舗内を快適に保っています。場所に応じて木材とガラスのジャロジーが使い分けられています。

同店舗では、発電のための太陽光パネルも豊富に使用しています。

・窓内蔵型の太陽光パネル4,800平方フィート(約1,463 平米)

・屋根上に設置した太陽光パネル19,000平方フィート(約5,791平米)

・駐車場内の25基の街灯上に設置された太陽光パネル

これらの太陽光パネルと前述の様々な省エネのための工夫が組み合わされることで、アメリカで初のネット・ゼロ・エネルギー認証を取得したファーストフード店となりました。

マクドナルド社は、新しいこの店舗の電気消費量について、建て替え前と比較し、約35%の削減が可能と見込んでいます(太陽光パネルでの発電によるオフセットは考慮せず、単純な電力消費量の比較)。

また、店内に設置された複数のインフォメーションスクリーンでは、再生可能エネルギーや省エネの重要性について啓蒙するプログラムも視聴することができ、同店舗のエコフレンドリー設計についても情報を見られるようになっています。同店舗は今後新築・改築する店舗が省エネ設計を目指す上でのフラッグシップ的な役割を持っており、マクドナルド社のエコフレンドリーへの取り組みの重要な施策として大きな成功を収めたプロジェクトとなりました。


V字型の屋根や窓ガラスなど、ビル全体に太陽光パネルが設置されています

植物がプラントされた外壁は彩りを提供するだけでなく、
CO2も吸収し、エコフレンドリーに貢献しています

外壁部の一部には木材製ジャロジーが採用されています

駐車場の街灯には全て太陽光パネル式発電システムが組み込まれており、
年間で9,000kw以上の電力消費量を削減します

マクドナルド社公式サイトでは、同店舗の紹介動画も掲載されていますので、併せてご紹介します。


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いかがでしたでしょうか。TGM wayでは、今後も当社取扱い商材やメーカーに限らず、海外の展示会や業界情報、建築に関する情報など、多様な記事をアップしていく予定です。

今後も是非チェックしてください!

※本記事は、glassonline.comを運営するA151 SRL社に特別な許諾を得て掲載しています

※情報出展元:glassonline.com 2022年2月7日掲載「Vitro: Solarban® 60 glass highlights first net-zero fast food in USA」

https://corporate.mcdonalds.com/corpmcd/en-us/our-stories/article/Innovation.flagship-disney.html


本記事に関する問い合わせ先
株式会社TGM 営業部 設備グループ
TEL: 03-6261-1260 MAIL: general@tgm-japan.com

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