2025年9月16日（火）～19日（金）の4日間、イタリア・ミラノ市内の展示会場にて、ガラス業界向けの国際展示会であるVITRUM 2025が開催されました。公式発表によれ200社を超える企業が参加、うち約30％は海外からの参加となりました。
（Hall 9、Hall 11）
◆VITRUMとは？
VITRUMは、主に板ガラス・瓶ガラス加工に関連した設備、ソフトウェア、副資材メーカーなどが出展を行う国際展示会で、2年に一度イタリア・ミラノ市内の展示会場(Fiera Milano Rho)で開催されています。本展示会はGIMAV（イタリアのガラス加工設備、材料、製品メーカー協会)によって出資された非営利団体によって運営されており、今年で24回目の開催となりました。
今回は、「イノベーションとデジタル化」「市場と国際化」「持続可能性と脱炭素化」「トレーニングと新たな専門的職業機会」といったテーマを軸に講演や討論会が行われ、来場者の興味を引きました。
株式会社TGMは本展示会に参加し、TGM wayでは現地の様子をVITRUM 2025特集として、 4回に分けてお届けいたします。
◆TGM WAY VITRUM特集（予定）
第1回：FENZI グループ、PROFILGLASS社
第2回：FOREL社、LITESENTRY社、SOFTSOLUTION社
第3回：BOTTERO社、DELTAMAX社、OPTIMA社、加工ツール各社
第4回：NEPTUN社、FILTRAGLASS社、SKILGLASS社、FRATELLI PEZZA社、IMMMES社、MISTRELLO社、アジア企業各社
特集第1回では、複層ガラス製造に欠かせない副資材メーカーをご紹介いたします。
FENZI社（Hall 9 Stand B01 D01）
FENZI社はイタリア・ミラノ近郊に本社工場を置く化学品メーカーであり、創業以来ガラス関連のシール材・ペイント材などの分野で世界のリーディングカンパニーとして高品質・高機能な材料を提供し続けています。イタリアALUPRO社、デンマーク ROLLTECH社、スペインTECGLASS社、オランダAGT社、イギリスThermoseal Groupと共に「ガラスアライアンス」グループを形成し、世界中に高品質な複層ガラス用資材（シール材・スペーサー・乾燥剤など）を提供しています。
高性能・環境配慮・技術革新を融合した最新ソリューションを発表
VITRUM 2025において、FENZI社はガラス加工用の製品分野で世界的なリーダーとして、次世代に向けた革新的な技術と製品群を披露しました。 今回の出展では、同社が長年培ってきた技術力と、持続可能な製造プロセスへの取り組みを融合させたソリューションが中心となっており、ガラス業界の未来を見据えた提案が随所に盛り込まれていました。
展示ブースでは、シーラント、熱可塑性樹脂スペーサー、塗料など、FENZI社が誇る高性能な製品が紹介されていました。
これらの製品は、ガラスの品質向上と環境負荷の低減を両立するものであり、製造現場における効率性と持続可能性の両面から注目を集めており、特に、近年の市場ニーズに応える形で開発された新しい技術や、省エネルギー性を高めた製品群は、来場者の関心を集めていました。
さらに、ブース内はFENZI社の専門分野を象徴するテーマ別に構成されており、来場者はそれぞれの技術領域に沿って展示を巡ることができる設計となっていました。製品の特性や用途をより直感的に理解できるだけでなく、FENZI社が掲げる技術や開発方針にも触れることが可能でした。
FENZI社の今回の出展は、単なる製品紹介にとどまらず、ガラス業界におけるデジタル化、自動化への意識、環境対応といった産業転換の潮流に対して、同社がどのような技術的ビジョンとソリューションを持っているかを示す重要な場となっておりました。グローバル市場において求められる品質基準や環境規制に対応しながら、製造現場の課題解決に貢献するFENZI社の姿勢は、今後の業界の方向性を示す一つの指標とも言えると実感いたしました。
Butylver TPS Seriesを中心に先進的な副資材技術を披露
〜 自動化対応と断熱性能を両立する熱可塑性スペーサーが注目の的に ～
FENZI社は、複層ガラス用副資材の主力製品「Butylver TPS Series」を中心に、同社の技術力と環境対応への取り組みを来場者に強く印象づけました。特に「Butylver TPS」および「Butylver TPS 2020」は、ポリイソブチレンをベースとした一液型の熱可塑性樹脂スペーサーであり、断熱性・加工性・自動化対応に優れた製品として高く評価されています。
これらの製品は、乾燥剤を含有する一体型構成により、ガラスや二次シール材への高い接着性を実現しています。水蒸気やガスの透過性を極めて低く抑えることで、複層ガラスの長期安定性と高性能化に貢献します。また、さまざまな中空層厚に対応可能な柔軟な設計により、世界中の製造ラインで採用が進んでいます。
展示では、Butylver TPS Seriesが自動塗布装置と高い互換性を持ち、製造工程の効率化に貢献する設計コンセプトが紹介されました。完全自動化に対応した高精度装置に柔軟に適合し、ペア、トリプル、クアトロなど、さまざまな構成の複層ガラスユニット製造に対応できできる点にも関心が寄せられていました。
加えて、作業性、断熱性能、耐久性に優れた特性を備えていることから、製造現場の課題解決や技術革新を支える副資材として高く評価され、来場者からは「自動化と品質安定の両立を図る理想的なスペーサー」として注目を集めました。
さらに、溶剤を含まない環境配慮型の構成や、欧州グリーンディールへの適合を意識した製品設計も高く評価され、持続可能なガラス製造に向けたFENZI社の姿勢が明確に示されました。
「Butylver TPS」は、従来製品とは一線を画すウォームエッジ性能、完璧な接着性、最小限の透過性、そして長期安定性を兼ね備えた熱可塑性樹脂スペーサーとして、複層ガラス製造において注目されています。高機能ガラスの自動生産における「ファーストチョイス」として、北米、中国、欧州を中心に世界的な存在感を高めています。
FENZI社の今回の出展は、複層ガラス製造における信頼できるパートナーとしての存在感を示すとともに、今後の国際展開に向けた重要なステップとなりました。
FENZI社の製品紹介
主な取扱品：複層ガラス用シール材（1次・2次シール材、TPS材）、乾燥剤など
BUTYLVER：複層ガラス用1次シール材
THIOVER F/1：複層ガラス用2次シール材 （2液混合タイプ）
BUTYLVER TPS 2020：複層ガラス用TPS材
MOLEVER：複層ガラス用乾燥剤
ALU PRO社（Hall 9 Stand B01 D01）
ALU PRO社はイタリア北東部ヴェネツィア近郊に本社工場を置くスペーサーメーカーであり、従来のアルミスペーサーからステンレス・樹脂スペーサーといった新旧のウォームエッジを幅広く提供しています。VITRUM2025では、FENZIグループとして同ブースで出展しました。
ALU PRO社、VITRUM 2025で高性能スペーサー技術を披露
〜 複層ガラスの品質と効率を高める革新ソリューションを発信 ～
ALU PRO社は複層ガラス用スペーサーの分野で培った技術力を活かし、最新の製品群と加工ソリューションを紹介しました。今回の展示では、断熱性、耐久性を兼ね備えたハイブリッド製品が注目を集め、来場者から高い関心が寄せられました。
ブースでは、製品の特性を紹介し、環境負荷を抑えた製造プロセスが評価されました。また、ALU PRO社が推進する「持続可能な加工」の取り組みも紹介され、欧州グリーンディールへの対応が強調されました。
同社の出展は、ガラス業界の品質向上と製造効率化を支える技術パートナーとしての存在感を示すものとなりました。
ALU PRO社の製品紹介
グラスファイバー、特殊樹脂、多層ガラスフィルムを使用した「マルチテックG」は最高レベルの断熱性を誇り、多数の色選択が可能です。樹脂、ステンレスを使用したハイブリッドタイプで、国内トップシェアを誇る「クロマテックウルトラF」、樹脂、ステンレスを採用し、内部に金属ワイヤを埋め込んで高い剛性を確保する「サーミックスTX PRO」等幅広いラインアップを持っております。日本国内でも高い断熱性能を満たす窓製品が求められつつあるため、日本国内でもウォームエッジスペーサーの普及は進んでいくことが予想されます。
Chromatech Ultra F：樹脂・ステンレスハイブリッドスペーサー
Chromatech：ステンレススペーサー
Multitech G：樹脂スペーサー
Thermix Pro：樹脂・ステンレスハイブリッドスペーサー（ワイヤ入り）
THERMOSEAL社（Hall 9 Stand B01 D01）
THERMOSEAL社は1979年に設立されたイギリスのほぼ中央部バーミンガムに本社工場をおくスペーサーメーカーで、イギリスを中心にヨーロッパ各国に複層ガラス用副資材を供給しています。昨年2024年7月にFENZIグループに加わって以降、初めてFENZIグループのブースにて出展しました。
THERMOSEAL社、英国品質の副資材技術をアピール
〜 複層ガラスの性能と信頼性を支える製品群を披露 ～
イギリスの副資材メーカーTHERMOSEAL社は、複層ガラスの性能を支える高品質な製品群を展示し、来場者の注目を集めました。断熱性・耐久性・加工性に優れたスペーサーなど、同社が誇る副資材は欧州を中心に高い評価を得ており、展示でもその技術力と信頼性が明確に示されていました。
中でも注目された副資材が、「Thermoflex Warm Edge Spacer」です。複層ガラスのエッジからのガス損失を最小限に抑えるためのガス拡散バリアを備えた柔軟な発泡スペーサーシステムです。
また、断熱性能を高めるだけでなく、柔軟性に富み、曲面ガラスや特殊形状にも対応可能です。さらに、自動化ラインとの高い適応性を備えており、製造現場での加工効率向上にも貢献する点が来場者から高く評価されました。
展示では、製品の実物展示に加え、品質管理体制や技術的な裏付けについて来場者が理解を深められるような資料や説明が用意されており、THERMOSEAL社製品の信頼性を直接確認する機会が提供されました。
THERMOSEAL社の出展は、複層ガラスの信頼性を支える技術パートナーとしての立ち位置を明確にするものであり、今後の国際展開に向けた重要な一歩となりました。
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本記事に関する問い合わせ先
株式会社TGM 営業部
TEL: 03-6261-1260 MAIL: general@tgm-japan.com
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