
最先端のガラス応用技術で建築における資源効率を根本から改革するWATER-FILLED GLASS社は、断熱ガスを水に置き換えています。同社は太陽エネルギーを利用して温度調節、排出量削減、快適性向上に取り組んでおり、脱炭素化に向けた世界的な取り組みの中で、建築分野における改修のための、よりスマートで拡張性の高いソリューションを提供しています。
2020年にLoughborough UniversityのMatyas Gutai准教授がDaniel Schinagl氏とAbolfazl Ganji Kheybari氏とともに設立した英国のスタートアップ企業のWATER-FILLED GLASS社は、水を充填したガラスを使って太陽光を活用し、革新的な省エネシステムに電力を供給する、ガラスへの革新的なアプローチの先駆者です。
革新的なテクノロジー
水充填ガラス (Water-Filled Glass / WFG)は、特許取得済みの革新的なガラス技術で、エネルギー効率・断熱性・吸音性を大きく向上させます。従来の断熱ガスの代わりに、処理済の水がガラス層に密封されており、この水の層が太陽熱を吸収して室内の温度を自然に調整し、外付けの遮光フィルムや日よけが不要になります。
水は熱を蓄えたり放出したりする能力が高いため、夏には余分な熱を吸収して蓄積し、冬には熱の損失を抑えることで、年間を通じて快適な室内温度を保てます。
さらに、各ガラスユニットの水は熱交換器へと循環し、熱エネルギーを再利用できるため、快適性の向上とシステム全体の効率化にも貢献します。従来の複層ガラスと比較して、WFGは最大72%、Low-Eコーティングを施したトリプルガラスと比較しても61%のエネルギー消費を削減できることが確認されています。
この技術の効果は、「Applied Energy」や「Energy and Buildings」などの主要な科学誌でも実証されています。

優れた快適性
WFGは、高い可視光透過性と優れた熱制御性能を兼ね備えた革新的なガラスです。まぶしさや室温上昇が原因で、窓がブラインド等で覆われるオフィス環境では、WFGがその課題を解消し、自然光を遮ることなく快適な室内環境を実現します。
調査では、従業員の65%がまぶしさを避けるために自然光を遮っていると報告されていますが、WFGの動的熱吸収技術がこれを根本的に解決し、ブラインド不要の快適な採光が可能になります。
さらに、ガラス内部に配置された水層が外部の騒音を吸収し、より静かで生産性の高い室内環境を実現します。
改修による効率化
建物のエネルギー損失の40%は窓によるものと考えられており、WFGによる改修は優れたソリューションとなります。 非住宅建築は世界のCO2排出量の32%を占め、そのうち冷暖房が45%を占めています。WFGの2番目の外装改修方式は、既存のファサード内に設置できるためコストのかかる足場、許可、テナント移転は必要ありません。
窓全体の交換とは異なり、WFGは元の建築的特徴を維持し、不要な解体廃棄物を排除することでプロジェクトコストを削減します。この技術は、建物の部分的な改修にも対応しており、特定のフロアに対象を絞って設置することができます。既存のカーテンウォールを維持し、週末に工事を行うことで、業務への影響を最小限に抑えることができます。
WFGを大規模に導入することで、年間最大5億トンのCO2排出量を抑制できる可能性があり、脱炭素化に向けた重要な役割を担うことになります。

業界パートナーシップと世界的認知度の向上
WATER-FILLED GLASS社は、WICONA社と提携し、WFGを同社の最先端のTEmotion NGシステムに統合しました。WFGを搭載したTEmotion NG TEmotionはBAU 2025で初めて公開発表されました。この先進的なファサードソリューションは、2025年5月7日~8日にUtrecht(首都アムステルダムから30キロほど南のオランダ第4の都市)で開催されたFutureFaçadeカンファレンスでも紹介されました。また、世界60カ国から約30万人の来場者と参加者を迎える世界的に有名なイベントである2025 Venice Architecture Biennale(ヴェネツィア・アーキテクチャー・ビエンナーレ)でも、WFGは高い評価を得ています。これは、持続可能な建築を新たに定義するWFGの可能性に対する業界の認識が高まっていることを示しています。
ガラス業界が運用時の炭素排出量を削減するための効果的なソリューションを模索している中、WATER-FILLED GLASS社は、革新的で拡張性に優れた技術を通じて、業界のリーダーとしての地位を確立し続けており、その取り組みは、「1窓から始まる」持続可能な変革を象徴しています。

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※本記事は、glassonlineに特別な許諾を得て掲載しています。
※情報出展元:Glass Technology International no. 3/2025 P64-P65 に掲載
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