2025年5月26日(木)~29日(日)の4日間、中国・北京にて第34回中国国際ガラス産業技術展示会(通称:China Glass)が開催されました。アジア最大規模を誇るこの展示会は、ヨーロッパ、アジア、米国、その他世界各国からのメーカーが出展し、建築・産業用ガラス分野で最新の技術、加工設備、副資材等を紹介・展示するものです。 今回のChina Glass 2025は、中国国際展覧中心順義新館にて開催されました。
株式会社TGMも本展示会に参加致しましたので、現地の様子を3回に分けてレポート致します。

W1-W2ホール 加工設備(特に複層ガラス製造設備)メーカーによる展示
W1およびW2ホールでは、加工設備の中でも 特に 複層ガラス製造設備メーカーの出展が目立ちました。 今年は、10社以上が 「熱可塑性樹脂スペーサー塗布装置(アプリケーター)」を展示し、実際にデモンストレーションも行われました。
熱可塑性樹脂スペーサーを使用した複層ガラス
昨年、熱可塑性樹脂スペーサー塗布装置を展示していた企業は約5社にとどまり、デモンストレーションを実施していたのはわずか2社のみでした。しかし今年は、その数が倍以上に増え、10社以上がこの装置を展示し、積極的にデモンストレーションを行っていることから、市場の関心の高まりや技術の進展が顕著になっています。
この1年間で、熱可塑性樹脂スペーサー塗布装置の導入や普及が急速に進んでいることが明らかになり、ガラス業界全体としても注目すべき変化が生じています。特に、スペーサー技術の改良によって断熱性能が向上し、製造プロセスの効率化が進んでいることが大きな要因となっています。 メーカー間の競争が激化し、各社が独自の技術を開発する動きが加速していると考えられます。
さらに、熱可塑性樹脂スペーサー自体を製造している企業も11社に増加しており、これまで以上に多様な選択肢が市場に提供されています。 スペーサーの種類や性能の違いが、製造ラインの品質やコストに大きく影響を与えるため、どの企業のどの設備が最も自社に適しているのかを慎重に見極める必要があります。 設備選定の際には、製品の耐久性や適用範囲だけでなく、導入後の運用や維持管理のしやすさも、重要な検討事項の一つとして慎重に考える必要があると考えます。
このような市場の変化を受け、今後は設備の導入に向けた動きがさらに活発化すると予測されます。 技術の進化に伴い、熱可塑性樹脂スペーサー塗布の精度向上や生産効率の最大化が図られることで、ガラス業界全体の発展が期待されます。
導入企業は市場の動向を慎重に見極め、最適な設備を選定しながら、技術革新への対応を進める必要があると強く感じました。
W1-W2ホール 加工設備メーカーによる展示
W3ホール 加工設備メーカーによる展示
China Glass 2025では、W3ホールにも多くの加工設備メーカーが出展し、複層ガラス製造ラインをはじめ、特殊加工機、洗浄機、ラックなどの小型装置が展示されました。 これらの設備は、製造プロセスの効率化や品質向上を目的としており、各メーカーが最新技術を活用した製品を紹介しています。
以前は、複層ガラス製造設備の展示はひとつのホールに集約されていましたが、近年では複層ガラス製造設備の出展数が増加し、複数のホールに分散して展示されるようになっています。 この変化は、ガラス業界の関心の高まりや技術の多様化を反映していると考えられます。 特に、複層ガラスの需要拡大に伴い、関連設備の種類も増え、製造ライン全体の最適化を図る動きが加速していることがうかがえます。
また、今回の展示会では、アジアで初めてガラス表面保護フィルムの自動貼り機が出展されており、大きな注目を集めました。 この革新的な技術は、ガラス製品の品質を維持しながら、効率的かつ均一に保護フィルムを貼ることを可能にします。
特に、製造工程の自動化が進む中、精度の高いフィルム貼りを実現することで、作業の効率化や品質の向上に貢献する点が評価されています。 さらに、製品ガラスに保護フィルムを貼ることで、出荷時や輸送時の傷を防ぎ、製品の品質を維持できるため、物流の安全性向上にも貢献します。 この新技術は、アジア市場におけるガラス加工の新たなスタンダードを築く可能性があり、ガラス業界関係者の関心を集めています。
各メーカーは設備の展示にとどまらず、実際の稼働デモンストレーションを通じて、製品の性能や導入メリットを具体的に示していました。来場者は設備の実際の動作を確認しながら、導入後の運用イメージをより明確に持つことができるようになっていました。
今後も、複層ガラス製造設備の技術革新が進むにつれ、展示の規模や内容がさらに充実し、ガラス業界全体の発展が期待されます。
W4ホール その他ガラス関連用品メーカーによる展示
W4ホールには、ガラス関連用品を取り扱うメーカーが多数出展していました。 このホールでは、大規模な設備展示とは異なり、比較的小規模な出展スペースが多く、各メーカーが独自の製品や技術を紹介していました。
出展内容としては、ガラス加工に必要な補助材料や工具、施工用のアクセサリー類、さらには品質管理や検査に関する機器など、多岐にわたる製品が展示されていました。これらの製品は、ガラスの製造・加工・施工の各工程において重要な役割を果たすものであり、業界関係者にとって実用性の高い情報が得られる場となっていました。
また、来場者は各メーカーと直接対話しながら、製品の特長や導入メリットについて詳しく聞くことができる環境が整えられていました。 このような展示スタイルは、専門的な技術や製品の詳細を深く理解する機会を提供し、ガラス業界関係者間の交流を促進する場としても機能していました。
ガラス関連用品の技術革新や市場のニーズに応じて、より多様な製品が登場し、さらに充実していくことが期待されると感じました。
China Glass 2025 現地視察・出展動向 総括レポート
今年のChina Glass 2025は、全3回のレポートにわたりお届けしました。 展示会を通じて、市場の動向や技術革新の流れを詳細に分析し、昨年のChina Glass 2024(上海開催)との比較を行いました。これにより、特定分野の拡大・縮小の傾向が明確に見えてきました。
世界各国でガラス関連技術の進歩が進む中でも、特に中国においては、その変化のスピードが際立っています。新技術の導入や生産プロセスの最適化が急速に進んでおり、市場の需要に応じた製品開発が加速しています。この動きは、ガラス業界全体の競争力を高めると同時に、国際市場にも影響を与えていることがうかがえます。
来年開催されるChina Glass 2026(上海開催)では、さらに新たな技術革新や市場の変化が予想されます。ガラス業界のトレンドがどのように進化し、どの企業が最先端の技術を発表するのか、今から注目が集まります。 これからも引き続き、ガラス業界の発展を注意深く追いながら、最新情報をお届けしていきたいと思います。
本記事に関する問い合わせ先
株式会社TGM 営業部
TEL: 03-6261-1260 MAIL: general@tgm-japan.com

























































