
覆われており、年間約1000トンのCO2を削減することができます。
より良い環境のために資源の賢明な活用
脱炭素化のプロセスは、地球が私たちに与えてくれる資源を知恵と工夫で賢く活用することで着実に進展します。再生可能エネルギーの使用と水の消費制限は、優れたメーカーが採用している主な環境保護の選択です。
ソーラーパネルは、電力消費量を削減し、CO2排出量を削減するために、機械および資材メーカーから広く採用されています。
熱電併給システム(発電と熱供給を同時に行うシステム)もまた、ガラス製造時に発生する大量のエネルギーと熱を利用するための優れた方法です。
その好例が、Cuneo(イタリア)にあるAGC社とWedge Power社が共同で建設した熱電併給発電所プロジェクトです。このプロジェクトでは、AGC社のガラス製造施設のエネルギーコストを削減すると同時に、廃熱をCuneoの地域暖房網に利用し、住宅やオフィス、自治体の建物に熱を供給しています。
このプロジェクトにより、温室効果ガスの排出を大幅に削減することができました。従来のシステムと比較して、 Noxを60%削減し、1次エネルギーの必要量を36%以上削減され、Soxの排出を完全に排除することができました。

水は貴重な資源であることはよく知られていますが、世界的な気候の変化に伴い、その維持がさらに重要になっています。
ガラス加工工場できれいな水を使用することは、設備とその部品を保護するための貴重な資源でもあります。
水処理システムは、水消費量を減らすことで投資をすぐ回収できるだけでなく、必要なメンテナンス、消耗による部品交換を減らし、高い品質基準を維持することができます。
部品の交換を減らすことは、コスト削減だけでなく、環境保全にもつながることは明確です。なぜなら、各部品を製造することは、間接的に環境中にCO2を排出することになるからです。

リサイクル
ガラスのリサイクルは、板ガラス業界におけるCO2削減の重要な推進要因であり、1,000トンのカレットをリサイクルするごとに約600トンのCO2排出量を削減することができます。工場内でのリサイクルは非常に効率的であり、ほとんどのメーカーが75〜80%のカレット再利用を達成していますが、消費者使用後のガラスのリサイクルは依然として課題となっています。
消費者/加工会社にとって、リサイクルにおける主な障壁のひとつはインフラで あると考えられます。欧州ではリサイクル率はすでに非常に高い水準にありますが、世界的にはまだ多くの課題が残っています。

技術とイノベーション
持続可能性への取り組みにおいて、先進技術は極めて重要な役割を果たします:
◆AIによるプロセス最適化
◆エネルギー効率のためのデジタルツインの導入
◆統合化された製造工程のデジタル化
◆無駄を省く自動品質管理システム


今後の課題と展望
持続可能な事業の推進において大きな進展が見られる一方で、業界は依然としていくつかの相互に関連した課題に直面しています。代替エネルギー源のための堅牢なインフラ整備は、特に再生可能電力統合のための信頼できるシステムの構築に、依然として厳しい壁となっています。さらに、リサイクル資源のサプライチェーンを最適化することは、回収、加工、品質管理の面で複雑な課題となっています。新技術の導入には多額の投資が必要であり、多くの企業にとって財政的な制約となります。さらに組織は、持続可能な手法の導入と市場競争力の維持との間の微妙なバランスを慎重にとらえ、環境への取り組みが企業の経済的存続性を損なわないようにしなければなりません。
専門家の視点
業界での経験から、欧州のメーカーは目覚ましい進歩を遂げましたが、完全な持続可能性への歩みには、継続的な革新と投資が必要であると考えます。いくつかの取り組みや事例の成功は、現実的な解決策が存在することを示していますが、これらのソリューションを業界全体に拡大することは依然として難易度が高いことを示しています。
欧州の板ガラス業界の持続可能性に向けた取り組みは、イノベーション、コミットメント、協力的な努力によって、環境への責任とビジネスの成功が両立しうることを実証し、グローバル市場にとって貴重な教訓を提供しています。
循環型経済といえば、消費者による使用済み製品のリサイクル向上が必須であり、それが最大の課題であると私は考えています。現在、複層ガラスユニット、ソーラーパネル、合わせガラスなどのような製品を正しく効果的にリサイクルするには、効果的な方法が少ないことが現状です。
ガラス加工会社ができる最も効果的な対策は、環境への影響を減らし、加工コストを削減するために資源を最適化することです。このような結果を得るためには投資が必要であることは明らかですが、ROI(投資収益率)は相応に短期間で得られと考えます。例えば、水処理システムによって消費量を最大80%削減することができ、検査システムによって廃棄物を最適化し、最新の設備によってエネルギー消費量を削減することができるなどといったことがあげられます。
私の見解では、加工会社は、業界が提供できるあらゆる技術を活用し、SDGsを考慮して生産され、EPD宣言を有する原材料を利用することで、最終製品が環境に与える影響を低減するためのさまざまな方法があると考えています。
最後に、政府と規制当局は、単に制限的な規制を設けたり、変化をサポートするために業界に十分な補助金を提供することや、より環境に優しい業界への移行を丁寧に維持する必要があります。
私の見解ですが、特に欧州でのリスクは、自動車業界で見られたような状況が起こるリスクがあります。つまり、業界では達成不可能な厳格な規制で課された目標が業界全体の足を引っ張り、最終的には目標の修正や期限延長したりすることで、業界を完全に沈没させないようにしながらも、依然として大きな損害を生み出すというシナリオです。
2025年2月26日、欧州委員会は、エネルギー集約型産業の脱炭素化を加速させ、同時に競争力を強化することを目的とした「Clean Industrial Deal(脱炭素化と産業競争力強化のための戦略)」を業界に提示しました。しかし、Glass for Europe(欧州ガラス業界団体)の代表を含む業界のリーダーたちは、この主導策では新たな脱炭素化技術に関連する高コストへの対応が不十分であるとの懸念を表明しています。エネルギー価格が高騰する中、早急に焦点を絞った対策が実施されない限り、板ガラス業界は回復不可能なダメージを受けると警告しています。早急な改革を求める声は、持続可能性と業界の強靱性の両方を支えるバランスの取れたアプローチの必要性を強調しています。
この広範囲にわたる概観は、環境に対する責任が単なる規制要件ではなく、ビジネスの根幹をなす原則となり、変革期にある業界の姿を明らかにしています。今後の課題は多岐に渡りますが、持続可能な発展のための基盤はしっかりと確立されています。
※資料と引用文献
※情報出展元:The National Glass Association (https://www.glass.org/)
http://www.glassmagazine.com
La Rivista Del Vetro (https://www.letsglass.it/)
https://glassforeurope.com/
https://www.agc-glass.eu/en
https://www.fenzigroup.com/
http://www.alupro.it/
https://deltamax.eu/
https://filtraglass.com/en/
https://www.glassquality.com/ に掲載

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