
Glass Technology Internationalは、5月8日、ボローニャで開催されたE-tech Europeの自動車スマートガラスフォーラムで司会を務め、ドイツFLABEG社のMatthias Schiller博士(CTO)、MARPOSS社のオートモーティブ・ガラスのLuca Bruni博士(グループ産業マネージャー), OLYMPIASのAgamemnon Varonos博士(CEO)の3名から、最新のスマートフロントガラスのイノベーションが自動車業界にどのような影響を与えているかについて重要な洞察を聞くことができました。この業界対談は3部構成で皆様にお伝えします。 シリーズ第1部, 2部に続き、最後のシリーズ第3部では、特にOLYMPIAS社のAgamemnon Varonos博士のプレゼンテーションを取り上げます。

OLYMPIAS社
安全を最優先に
現代の自動車設計では、乗客の安全が最重要課題となっており、自動車製造のあらゆる面で、衝突事故における運転者、同乗者の被害を最小限に抑えることを最も重要な目標として位置付けています。この点において、A ピラーつまりフロントピラー(車の前部にあって屋根を支えている支柱)は、自動車の強度を高め、万が一の事故の際には、衝突による衝撃から運転者、同乗者を守り、生存空間を保つという大切な役割を担っています。 更に、エアバッグを収納し、屋根を支えるという不可欠な役割も果たしています。 ただし、このA ピラーには、デメリットがあり、運転者の視界を奪う死角を生み出し、重大な安全上のリスクをもたらす恐れがあります。
パノラミック・ウインドシールド・システム(PWS)
(全体を見渡すことができるフロントガラス) のご紹介
パノラミック・ウインドシールド・システム(以下、PWS) とは、乗用車のA ピラーによって生じる死角をなくすために設計された技術革新であり、A ピラーを視覚的に透明化し、運転中に支柱の向こうが“透けて”見えることで、運転者と歩行者の両方の安全性を大幅に向上させる技術です。この技術革新は、乗用車に限定されず、救急車、タクシー、輸送車両等の特殊用途の自動車にも導入し、自動車の安全性を飛躍的に向上させます。

最先端技術:
有機液晶ディスプレイ(OLCD)&有機ELディスプレイ(OLED)
PWSの主要な肝(心臓部)は、組み込まれているディスプレイで、丸みのあるA ピラーの形に合うよう曲げられる十分な柔軟性を備え、有機液晶ディスプレイ (OLCD) または有機発光ダイオード (OLED) 技術を利用している点です。 この高度なシステムにより、運転席側と助手席側の両方のA ピラーが完全に透明化し、従来のAピラーによる死角が生じることなく、視界が遮られることがありません。 PWSは、特許取得済みのカメラ(カメラで写した死角部分の画像をAピラー内側のディスプレイに映し出す)、プロセッサ、視野コントローラー、そして丸みのあるAピラーの形状に合うよう曲げられる柔軟性のあるディスプレイ、これらすべてがA ピラーに継ぎ目なく組み込まれます。
PANORASIS社の技術革新:
(参考:PANORASIS社はOLYMPIAS社のスピンオフ部門になります。)
このPWSの技術革新には、高度な技術を通し革新的なソリューションの開発に注力しているPANORASIS社の存在があります。同社は、Tier1サプライヤーや自動車メーカーとの連携を通じて、このPWSを乗用車に取り入れることを目指しています。すでに有名自動車メーカーと最初のコンタクトを確立しており、これは製品の将来の商品化にとって非常に重要になります。
特許技術
PWSは、複数の特許によりその方法論と科学的根拠が証明されています。国際特許の引用文献には、EP3186109B1、WO2016103043A1、US9654687B2 などがあり、すべて堅牢な米国 IP システム(米国の知的財産システム)に基づいています。これらの特許範囲は、広範囲であり、高い保護度合のIP保護等級を提供し、PWSの独自性を保護しています。
商品化するまでのプロセス
PANORASIS社は、PWSの本格的な市場投入と開発に向けて、そのプロセスを段階ごとに概説しています。
□ コンセプトと知的財産: 完了
□ 試作品の開発: 進行中、2023 年頃の試作完了を目標
□ 資金調達の確保: 進行中
□ 会社設立: 進行中
□ 自動車メーカー、資材ベンダー、主要部品メーカーとの交渉:進行中
□ 製品規格の定義: 進行中
□ カスタマイズ、テスト、ライセンス: 進行中
現在PANORASIS社は、試作品の開発と資金調達に積極的に取り組んでおり、協力できる可能性のある OEM (Original Equipment Manufacturer)、Tier1サプライヤー、ベンダーを特定しています。
PANORASIS社の目的
PANORASIS社が目指している点は:
□ PWSを商品化し、持続的な開発
□ OEM先、TierIサプライヤー、ベンダーと連携して、ビジネスおよび技術基準、品質条件、テスト、安全目標を満たし、PWSの完全な生産と商品化の実現
□ 株主のポートフォリオ価値を最大化し、投資資金の回収と長期的な成長の確保
自動車産業が描く、より安全な未来の姿
運転者の安全に対し、PANORASIS社は、画期的な技術と揺るぎない取り組みにより、自動車業界に大きな変革をもたらしています。同社のPWSは、すべての人にとってより安全で楽しい運転体験を生み出すことを約束し、自動車ガラス技術の大きな進歩を示します。
※本記事は、本記事は、glassonlineに特別な許諾を得て掲載しています。
※情報出展元:Glass Technology International_2024_ November-Decemberに掲載
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