【ガラス検査】歪みを測定してコストのかかる失敗を防ぐ

これは、ここ数年、私が何度か訪れた上海のオフィスタワーのファサードです。数年前からエッジ部分の剥離(デラミ)現象がハッキリと見えるようになりました。加工プロセスやガラスの詳細を調査しない限り、この不具合の正確な原因を解明することはできませんが、いくつかの可能性は考えられます。

このような不具合を回避するために

こうしたファサードガラスユニットは、現地では両面強化合わせの複層ガラスが一般的です。外側のガラスは、おそらく日光を遮断するようなコーティングがされているでしょう。ガラスの短辺、長辺ともにエッジ部分に濁った乳白色の影が見られます。ガラスのエッジ部には、オートクレーブでの加工の後であれば、直ぐに発見できたと思わる、明らかな気泡や空気の侵入が見られました。湿気が既に中間膜に侵入しているようです。少なくとも、仮圧着時には既に何らかの不具合が発生していたのでしょう。しかし、何故このようなことが起きるのでしょうか?

今回のケースでは、ニップローラーの押し付け力、仮圧着炉の設定温度、ラインの速度など、合わせガラスの製造プロセスの設定が誤っていた可能性があります。また、積層前のPVB膜の保管方法や状態に問題があったのかもしれません。しかし、そういった場合、比較的ガラス全体への欠陥を引き起こすケースが多く見られます。また、ニップローラーの組付け精度に問題があった可能性もありますが、これはラインの設置時の試験で発見されているでしょう。

今回の不具合では、ガラスエッジ上のいくつかのポイントではエッジの欠陥が滑らかで連続しているのに対し、長辺エッジの一部は比較的規則的な波状になっていることがわかります。また、ガラスの反射像を見ても明らかな歪みが確認されます。これについて結論を出してみましょう。

これらの不具合は、おそらく強化加工が上手くいかなかったことと、適切な品質管理が成されていなかったことに起因します。非常に可能性の高い原因としては、強化工程でのエッジの変形が考えられます。これは「額縁反り」や「ローラーウェーブ」と呼ばれる類の歪みです。これらの不具合は、一般的にPVB(または他の中間膜)とガラスの圧着不良に繋がり、オートクレーブ加工中にガラス内に空気が侵入する可能性を生みます。侵入した空気はハッキリとは見えないこともあり、圧着不良が原因で設置から数年後に剥離減少が発生することもあります。

本圧着の際、ガラスの端にクリップやクランプを使用するのは、同様の問題に対処するための一般的な方法ですが、端に張力が残っているため、年数が経つにつれて合わせガラスの端が裂けていく傾向にあります。このような多大な損失を生む不具合を回避するためにはどうすればよいのでしょうか?

合わせガラスの歩留まり率向上に重要なのは平面性

強化ガラスを使用した合わせガラスを不具合なく製造する為には、ガラスの平滑度が重要です。強化の工程では、ガラスが軟化点以上の620〜640℃に加熱されるため、セラミックローラー上を搬送される際にガラスに変形が生じます。強化ガラスの代表的な変形には、ローラーウェーブやエッジリフトがあります。通常は基準に従って測定し、不具合のあるものを廃棄します。これらに加えて、ハンマーポケット、額縁反り、センターキンク、双方向歪みなどが熱強化の工程の後に見られることがあります。こうしたNG品を後工程に進む前に確実に除去するため、検査装置を用いて測定を行う事に大きなメリットがあります。

強化ガラスの代表的な変形例:左からローラーウェーブ歪み、ハンマーポケット、額縁反り、双方向歪み

このような変形は、発見が遅れると、強化ガラスの外観を損ない、合わせガラスなどの下流工程にも深刻な影響を与えるため、結果的に現場での作り直しや交換にコストがかかることになります。

この問題に取り組むための最初の有効なステップは、正確で信頼性の高い歪み測定システムでこれらの変形を確実に測定することです。一度測定すれば、欠陥のあるプロセスを特定し、是正措置を講じることも可能となりますし、最適化された生産工程では、これらの変形を最小限に抑え、場合によっては実質的に排除することもできます。この様に、検査装置を利用し、強化工程から排出されたNG品を直ちに発見し取り除く事で、合わせ等の後工程で時間や労力、資源といったコストを浪費する事も予防できます。こうした不具合は廃棄を増やし、会社にとって損失を生んでしまう厄介な存在である事は言うまでもありません。ポケット(又はハンマー)歪みやクロスコンベア歪みもまた、合わせガラスの品質を損なうため、エッジ反りやローラーウェーブ歪みだけでなく、あらゆる種類の歪みを測定することが非常に重要です。

上述のように、強化合わせガラスを製造するメーカーの中には、本圧着の際にガラスのエッジ部にクランプを使用しているところがあります。これは、時間と労力がかかり、完全な品質を保証するための信頼性の高い方法ではありません。複数の加工工場での経験から、適切な歪み測定システムを導入し、それに応じて熱強化のレシピを調整した後は、クランプはもはや必要無いことがわかっています。

正確で信頼性が高く、汎用性の高い歪み測定システムへの投資は、多くの工場で高い費用対効果を示しています。今回のケースは、それを証明する一例に過ぎません。

写真:LiteSentryTM社提供

業界のパイオニアでありリーダーであるLiteSentry™社(アメリカ)が開発したOsprey™ 9は、今日の市場で最も正確で包括的な強化ガラスの歪み測定システムであり、全ての種類の歪みとアニストロフィーを測定する唯一のシステムです。これまでに400台以上のLiteSentry™社のシステムが導入され、品質と生産効率で競争力を維持するために、世界的な大手メーカー様から、町の小さな家族経営の加工メーカー様まで、幅広く採用されています。

著者:Juha KARISOLA氏は強化ガラス、曲げガラス、合わせガラス加工の分野で25年の経験を持ち、現在は貿易とコンサルティングの会社を経営しています。

出典:Avoid Costly Failures by Measuring Distortions written by Juha Karisola


株式会社TGMでは、年々高まるガラスの加工品質に対する要求を受け、強化ガラスの歪みおよび応力バランス測定のためのソリューションをご提案しています。また、ガラス表面の欠点検出のソリューションや、高い精度で測定・検出するために必要となる高性能な洗浄乾燥機もご提案しています。ぜひお気軽にご相談ください。

問い合わせ先
株式会社TGM 営業部 設備グループ
TEL:03-6261-1260
general@tgm-japan.com

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